水没車というのは、車体が水に浸かってしまった車のことを呼びます。一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準によれば、水没車というのは「室内フロア以上の高さまで浸水したもの」を指します。つまり、車の室内床面より高い位置まで水に使った車を冠水車(水没車)と呼びます。
水没車が市場に流れていることは少ないのですが、昨今の災害で水没車になってしまった車両はたくさんあります。そういった車が中古車市場に流れてくると、気付かないうちに水没車を購入してしまうこともあるでしょう。また、あなた自身が大雨、洪水などの災害に巻き込まれて、所有している車両が水没してしまう可能性もあります。
水没した車は車体の重要な部分が腐食し、動作に問題が発生します。いつエンジントラブルが起きるか分からない状態になるため、一般使用を続けるのは大変危険。可能であれば乗り換えを検討しましょう。この記事では、
- 水没車を購入してしまわないように、水没車を見分ける方法
- 自分の車が水没してしまった場合の対処法
について詳しくご紹介しています。水没してしまった車に乗り続けて大きなトラブルを起こさないように、また知らぬ間に水没車を購入してしまうことがないように、自分で出来る対策をしておきましょう。
水没車(冠水車)とはフロア上まで浸水した車両のこと
自動車公正取引協議会の資料にも記載されているのですが、一般財団法人日本自動車査定協会の中古自動車査定基準によると、冠水車とは「集中豪雨や洪水などにより、室内フロア以上に浸水したもの、または、その痕跡により商品価値の下落が見込まれるもの」とされています。また、業者間取引(オートオークション)においても概ね同様の基準が採用されており、冠水車である旨が判明した場合は、その旨を表示して取引することが定められています。
大雨でタイヤ付近まで浸水した経験のある方もおられるかもしれませんが、タイヤ付近まで浸水しただけでは水没車とは言いません。タイヤ付近の高さであれば車体外装が汚れる程度であり、車の機能そのものに悪影響が出る可能性もありません。
大雨や洪水の被害を受けたとしても、その車が水没かどうか簡単に見分ける方法としては、車内のフロアマットが浸水しているかどうかが一つの判断となります。フロアマットが濡れるほどに浸水した場合、その車両は水没車となってしまうのです。
水没車の特徴
通常の車は車内が水に浸かるような仕様になっていませんが、水没車は車内まで水に浸ってしまった状態になるため車の使用に対して様々な悪影響が出ます。
水没車の特徴
- 車内のパーツが腐食する
- シートレール、ダッシュボード内など車内金属パーツに腐食や錆が発生する
- 水没がひどい場合、シートにカビが発生する
- 車内の異臭、エアコン作動時の異臭がある
このように、水没車は各所に腐食や錆、異臭が発生するため通常使用しているだけでも違和感があるものです。室内に悪臭がある状態でその車に乗り続けるのは、なかなか厳しいもの…。
さらに、水没車はそういった室内居住空間の不快感だけではなく、車の機能そのものに対しての不具合も発生します。室内異臭、エンジン、電装系の不具合など水没車に乗るには様々なリスクが伴うのです。
水没車に乗るリスク
今乗っている車がもし水没車だったとしても、そう簡単に別の車に乗り換えることは出来ませんよね。新しい車を購入するためには多額の資金が必要ですし、もしかすると今乗っている車をローンで購入している方もいるでしょう。ローン返済中に車を売却するには多くの手続きが必要となり、通常の売却よりも大変です。
乗り換えるのが難しいため、水没車をそのまま使用し続ける方もおられるでしょう。しかし、水没車には様々なリスクが存在するため、通常使用でも気をつけて乗らなければいけません。急なエンジントラブルによって一般道で急停車してしまい、大問題に発展する可能性もあります。
エンジンの不具合
水没した車はエンジンが故障している可能性が高くなります。エンジン内に水が入ってしまうことによって不具合が発生することはもちろん、車のマフラー(排気装置)から水が逆流しエンジン内に水が入ってしまうこともあります。
エンジン内部に水が入った状態でエンジンをかけてしまうとウォーターハンマー現象が起こり、エンジンにとても深刻な負荷をかけることになります。ウォーターハンマー減少が起きるとエンジン内部に負担がかかり、エンジンそのものが損傷してしまいます。エンジンが損傷すると、エンジンをかけてもかからないか、走行中に急にエンジンが停止する可能性があります。
エンジンがかからない状態なら走行出来ないのですが、走行中にエンジンが損傷して発火する可能性もあります。エンジンがオーバーヒートすることもありますし、給油ライン(ガソリンを送り込んでいる管)が破損すると爆発事故にも繋がります。ここまで大きな事故が起きると運転しているあなたの生死に関わります。
電装系の不具合
車内が水没している場合、カーナビやエアコンなどの電装系部品に不具合が発生する可能性があります。
- カーナビが動かない
- コンソールパネルの液晶表示が付かない
- エアコンが作動しない
- 走行していてもメーターが動かない
といったトラブルが起きるかもしれません。電気機器が水没したことにより電源が入らなくなりますし、電源が入ったとしても正常に動作しなくなってしまうのです。
エアコンやカーナビの不具合程度であれば走行には問題がないかもしれませんが、メーターが動作しない車は公道を走ってはいけません。走行速度が分からない状態になってしまいますし、ウィンカーも動作しないかもしれません。そもそも、そういった状態での公道走行は道路交通法違反です。
表示の不具合、動作不良であれば気付いて修理できるかもしれませんが、車体内部で電装部品がショートする可能性もあります。ショートすると火花が発生し、車体そのものの火災に繋がりかねません。カーナビがおかしい程度では済まされない、大事故に発展します。
エアコンや内装の異臭
水没した車両は車内の至る箇所にサビやカビが発生するため、空調を稼働する(エアコンを付ける)とそのカビなどが異臭となって車内に充満します。臭いにおいで不快なだけでなく、カビが舞い散った車内にいるのは健康面でも大きな被害を受けるでしょう。カビだけではなく、水中の汚染物質(下水に含まれる有害物質等)が車内に侵入し、健康に大きな悪影響を及ぼす可能性もあります。
異臭がしたまま乗っていると、着ている服にカビ臭い匂い移ってしまいますし、体調も悪くなります。カビが浮遊している車内に何時間もいるのは、健康面を考えても避けたいものです。
水没車(冠水車)の見分け方
わざわざ水没車を購入する方はいないでしょうが、中には知らずに水没車を購入してしまう方がいるのも事実。
中古車販売する際、水没車(冠水車)である場合は水没車であることを明示するように消費者庁の公正競争規約で定められています。しかし、車のスペック表の中に「修復歴」を表記する項目はあっても水没車を表記する項目はない場合がほとんど。そのため、水没車をそのまま格安車両として販売している中古車業者もいます。
水没車であることを隠して中古車を販売するのはもってのほかですが、中には販売している中古車販売店も水没車であることに気付いていない場合があります。通常の整備点検をしていても、隠れた箇所の浸水跡に気付いていないケースがあるのです。
そこで、ここでは実際に水没車を見分ける方法についてご紹介します。
エンジンルームやトランクルームの腐食
水没車はフロア位置まで水に使った状態であるため、車のエンジンルームやトランクルームまで水に浸っています。エンジンルームやトランクルームは通常では水が入る部分では無いのですが、水没した車両ではその中まで水が入ってしまいます。
防水対策はしてあるものの、エンジンルームやトランクルームは水が入ると抜けにくく、中で金属部分を腐食させてしまいます。エンジンルームの場合は金属部分が腐食して錆びてしまいますし、トランクルームは布地が湿気てカビが発生します。通常では濡れない部分が水に浸ることによって、さまざまな問題が起きます。
購入した車両に怪しい点があった場合、エンジンルームの内部やトランクルームの内張を剥がした内部を点検してみましょう。特に角の水が溜まりやすいような部分に水が溜まっていたような跡がある場合、水没車である可能性が高くなります。トランクルームが浸水した場合、内張やマットがずっと湿った状態になっていることもあります。
フロアマット裏の汚れやシートレールの腐食
フロア位置まで浸水している場合、フロアマットやシートレール(シートを固定している金属レール)も水に濡れていることになります。
フロアマットは雨の日に濡れた靴で踏みつけることによって濡れることはあっても、全体が水に浸るようなことはありません。水に浸ってしまった場合、車の車内は密室になるため取り外して乾かさなければなかなか乾きません。フロアマットが湿っている、広範囲に汚れたシミがある場合は水没を疑いましょう。
車のシートを固定しているシートレールは金属で出来ています。錆びないように塗装コーティングはされているものの、全体が浸水するとボルトの穴や隙間から水が入り込んで錆が発生します。ここも通常使用では水に濡れる場所ではなく、正常な車では腐食が起きない箇所です。シートの下を覗いてみて、シートレールに多くな腐食がある場合は水没を疑って間違いないでしょう。
シートの広範囲なシミ
中古車なので、シートにシミが付いていることは珍しくありません。売却時に通常の汚れであれば査定額は下がりますが、購入時には購入価格が安くなります。シミ程度であればシートカバーを付けてしまえば見えなくなるので、そこまで大きな問題に思わないでしょう。
しかし、シート付近まで水没した履歴のある車の場合、シートの広範囲に大きなシミが発生しているケースがあります。通常の汚れのようなシミではなく、子供がおねしょをしたような感じで広範囲が変色しているシミ。横一線でシミのラインができている場合、その線の位置まで浸水した可能性が高いです。
シートベルトの変色
シートベルトはピラー(柱)の上部と下部を繋ぐように固定されており、下部はフロアに近い場所に位置しています。水没した車の場合、このシートベルトにも変色やシミが発生していることが多いのです。シートベルトも布製の部品ですし、一般的には取り外して洗浄することもないため、水没したそのままの状態になっています。
水没した車は人が脱出するのでシートベルトロックを外した状態になることが多く、シートベルトは縦に収納された形になります。つまり、車両のフロアからピラー上部に伸びた形になるため、シートベルトの下半分にシミがあるとその位置まで浸水している可能性が高いですね。逆に丈夫にシミがあるように見える場合もあるのですが、これは車が横転して浸水した可能性があります。
ダッシュボード近辺の腐食
車のコンソールやダッシュボード位置まで浸水した場合、内装パネルが腐食しているでしょう。ダッシュボードなどの内装パネルは水に浸る想定がされておらず、防水機能がありません。さらに内部には防音性のあるクッションが貼られているものも多く、水に浸ると吸い込みます。
防水処理されていないパネルが長期間水に濡れた状態になり、さらに内部のクッション材に水が染み込んでしまうとダッシュボードパネル、コンソールパネルが腐食します。表面がボコボコと波打つように腐食して浮き出てくる場合もありますし、内部がカビて異臭を発することもあります。
カーナビ、エアコン操作等の電装系部品のエラー
車は電気部品が非常に多く、各所からエンジンルーム内のバッテリーへ配線が繋がっています。ダッシュボード位置まで浸水している場合、コンソールボックス内に入っている電子機器が故障している(ショートしている)可能性もあります。
そういった電気部品が故障すると、カーナビのエラー、エアコンパネルの表示不良、オーディオの不具合などが発生します。ナビなどの電気部品に不具合が起きている=水没とは考えられないですが、ナビやエアコン、オーディオなど複数箇所に渡って不具合があり、なおかつ上で述べたような水没跡がある場合には水没を疑いましょう。
ヘッドライト内の浸水
水没した車はヘッドライトの内部に水が入っている場合もあります。レンズの中に水が入っているので、ヘッドライトの下の方にゆらゆらと水面が見えるような状態です。
ヘッドライトは外部からの水が入らないようにコーキング(シーリング)されています。隙間のない作りになっているため通常の雨などでレンズ内部に水が入ることは考えられません。しかし、ヘッドライトの裏側(エンジンルーム側)はソケットを入れる穴が空いており、隙間があります。エンジンルーム内まで浸水するような水没の場合、そのソケット入り口の隙間から水が侵入してレンズ内に水が溜まってしまうのです。
ヘッドライト内部に水が溜まっているような車両は水没している、もしくは何かしらでヘッドライトレンズが損傷している可能性があるため、しっかりと確認しましょう。
水没車を購入してしまわないために
水没車の場合、販売店は事前にその車両が水没車であることを購入者へ通達する義務があります。しかし、中にはその義務を怠ったり、そもそも販売店が水没車であることに気付いていないケースも。
水没車は目に見えないトラブルを抱えている可能性も高く、エンジンや駆動系部品にも不具合が発生する可能性が高いので購入をおすすめできません。いくら安く買えたからといっても数日で廃車になってしまうのでは意味がありませんね。
そういったトラブルを起こさないためには、水没車を購入しないように確認するしかありません。
販売店へ確認
詐欺かどうかに関わらず、水没車を購入してしまわないように事前に販売店へしっかりと確認をしましょう。写真やインターネット上の情報だけで購入するのではなく、実車を見て外装・内装を確認する必要があります。
販売店には水没車であることを購入車へ伝える義務があります。よく中古車のフロントガラスに掲載されているプライスボードには、水没車であることを表すようなチェック項目はありません。修復歴の掲載義務があることはよく知られていますが、実は水没車も告知義務があります。もし購入前に水没車であることを知らされなかった場合、景品表示法上も問題がありますし、民法に基づいて売買契約を取り消すことも出来ます。
水没車はそれだけ法的に制限されている車両なので、販売店へ確認すればしっかりと内容を伝えてくれるでしょう。素直に、この車に水没歴があるのかを確認してみましょう。
自分の車が水没してしまった場合
中古車を購入するのではなく、自分の乗っている車が水没してしまった場合にはどのように対処すれば良いのでしょう。
- タイヤ位置までの水没
- フロアまでの水没
- シート位置までの水没
- ダッシュボード位置までの水没
と一言に水没といってもその被害の大きさは様々。
基本的に水没した車をそのまま乗り続けることはお勧めできません。タイヤ位置まで程度の水没(厳密には水没ではない)であれば、タイヤとホイール、サスペンション、アーム周りを点検すれば大丈夫かもしれません。しかしフロア位置まで水没した車はフロア周りのパーツやエンジンに不具合が発生する可能性があるため、簡単な点検では乗り続けるのは危ないでしょう。
マフラーから水を吸い込んでしまった場合はエンジン内部に水が逆流している可能性もあり、エンジン自体が壊れてしまいます。もし、マフラーから水を吸い込んだ可能性がある場合、エンジンはかけないようにしましょう。
エンジン等の修理
水没車の修理で一番お金がかかるのがエンジンの修理。ご存知の通り、エンジンは非常に複雑に作られているため、修理となると多額の修理費用が必要となります。予算規模としては数十万円〜100万円を超えるケールもあるため、エンジン修理をきっかけに車を乗り換える方もいるほど。
水没した車のエンジンルーム内が綺麗てエンジンに不調がないように思えても、実は排気装置であるマフラーの中に水が侵入している可能性があります。マフラーに水が入った状態でエンジンをかけると、吸気した時に水がエンジン内に逆流し故障の原因となります。
エンジンが故障してしまった場合、故障箇所の部品単体で交換することは難しく、エンジン本体はもちろんラジエーターコアなど付属部品も全て交換となる可能性があります。そうなると修理交換費用も100万円を超えるものとなり、現実的に車の修理は諦めた方が良いでしょう。
そうなってしまわないよう、水没した可能性のある車はエンジンをかけないでおきましょう。車屋さんに連絡してレッカーで処理してもらうのが確実です。自分の判断でエンジンをかけてしまわず、車屋さんに点検してもらって問題ない状態になってから使用しましょう。
車両保険加入済であれば、保険が使用できることも
実は水没した車両に対しては自動車保険の車両保険が適用されます。車両保険には保証範囲の狭いエコノミー型と、広範囲の事故を保証してくれる一般型がありますが、自然災害が原因で水没した車両にはどちらのタイプでも車両保険が適用されます。
基本的な水没修理は車両保険の修理対象となっているのですが、エンジンまで損傷している等、修理が困難な場合には全損扱いでの保険適用となってしまいます。修理金額が車両保険の金額を超えてしまっている場合には全損となってしまうのです。
全損の場合は免責金額が引かれないため、車両保険に設定されている保険金額が支払われます。つまり、車両保険の設定金額が少ない場合には修理費用や買い替えを補うことが出来ず、自己負担が大きく発生します。
筆者が所有しているクラウンマジェスタにも50万円の車両保険を付けていますが、もし水没してエンジン交換となった場合は車両保険の金額ではカバーし切れないでしょう。この場合、全損扱いとなって50万円だけを受け取り、次の車を探すしかありません。
さらに、津波による水没被害も保険の適用外となっています。津波は被害範囲が広い災害であるため、保険会社による保険料設定が難しいようです。中には津波特約を設けている自動車保険もありますが、多くの方は津波に対してわざわざ保険をかけていないでしょう。東日本大震災などでは多くの車両が津波被害で水没しましたが、あのような車両は保険を受けられないのです。
廃車(スクラップ)にする
水没した車両は修理費用も高額になるため廃車(スクラップ)にする方も多くおられます。いくら車両保険に入っていたとしても数十万円以上の出費になるため、買い替え費用を考えても廃車にしてしまった方が金銭負担が少ないケースが多いにあります。
廃車する場合、街の車屋さんに連絡しても良いですが、インターネットでは廃車を専門的に扱っているサービスもあります。車両を廃車にする場合、車を部品にバラしてバラ売りしたり、鉄屑として金属パーツを売買したりすることによって利益を生み出せます。そういった廃車専門の会社へ連絡すると、廃車前提で買い取ってくれるのです。
廃車にする場合、廃車手数料を支払って廃車するのではなく、専門業者に連絡して少しでも廃車買取金額を受け取った方が良いですね。
買取業車へ売却
買取業者の中には水没車でも買い取ってくれるサービスがあります。多くの買取業者は水没車を扱っていないのですが、中には水没車であっても買い取ってくれる業者があるのです。もちろん、水没の規模によって査定額は大きく目減りしますが、0ということはありません。(前述した通り、廃車前提で買い取ることもあるため)
車両が水没してしまって修理して乗り続けることが難しい場合、水没車として買取業者へ売却してしまうのも一つの方法です。その買取資金をもとに、新しい車に買い替えることも考えられます。
水没歴の査定額への影響
一言に水没と言ってもその度合いは様々。フロア高ギリギリまで水没した車両もあれば、車全体が水没してしまった水没車もあります。日本自動車検査協会では、車がどの程度まで水没したかを基準として取引金額に対しての減点率を定めています。
水没レベルと減点率
- フロアシートまで浸水:30%以内
- クッション上部まで浸水:40%以内
- ダッシュパネル上部まで:50%以内
参照元:日本自動車検査協会
もちろん、水没した車両は買取価格が大きく下がりますが、修理に多額の修理費用がかかることや、廃車する手間を考えた時には売却も検討に入れておきましょう。この場合、売却金額と車両保険の保険金額を天秤にかけて、手元資金の残しやすい方法を選択するべきです。
水没車であることを伝えなければ契約不適合責任に問われる
水没車を売却する際、パッと見では水没車と分からないような車両もあるでしょう。フロア高ギリギリまで水没した車両の場合、外装をサッと洗車し内装を掃除すれば見た目は綺麗になります。フロアカーペットをめくって内部を掃除すれば見た目の水没跡は分からないかもしれません。
だからと言って水没車であることを隠して売却することは法律上禁止されています。車の故障箇所等を隠して売却することは契約不適合責任に問われることがあり、罰則の対象です。見た目には水没跡が分からなくても、その後にエンジン不調が出た際に検査されると水没歴はバレてしまいます。
契約不適合責任に問われると売買契約を解除されるだけでなく、損害が出ている場合には損害賠償請求される可能性もあります。売却した車両がトラブルを起こしたりした場合、多額の損害賠償に繋がることもあるため、水没車を売却する際にはちゃんと水没車であることを伝えてから査定してもらいましょう。
水没車は購入しない、使用しない
水没車は見た目の不具合よりもエンジンの不具合が大きな問題となります。水没してもしばらくエンジンが稼働するケースはあるのですが、長期間使用しているとエンジン内部に水が侵入して大きなトラブルに発展する可能性も。エンジンが故障してしまうと多額の修理費用がかかりますし、走りながらトラブルを起こすと車両炎上など大問題に発展する場合もあります。
車屋さんで販売されている車両はほとんどが適切に表記されているものばかりですが、中には水没車を水没車と明記せずに販売しているケースもあります。そのため、明らかに相場より安い車両が販売されている時には、その車両に水没等の問題がないか確認した方が確実です。販売スタッフの方に素直に水没歴がないかを聞いてみるのも大事。
水没車を水没車と知らずに購入しその後にトラブルが発生した場合、販売店の契約不適合責任となります。売買契約そのものが解除となりますし、何かしらトラブルが起きた時には損害賠償請求が可能。何より水没車を購入してしまわないよう、中古車を購入する際にはフロアマットの下やシートのシミ、エンジンのかかり具合などをその場で一緒に確認してもらうのが良いですね。
逆に、自分が契約不適合責任に問われないよう、水没車を売却する場合にはちゃんと査定スタッフの方に水没車であることを伝えましょう。隠して売却すれば高く売れると悪い考えで動いてしまう方もおられるかもしれませんが、売却後に水没が発覚すると大きなトラブルに発展する可能性もあります。